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『21世紀の不平等』経済格差を縮める政策を考える

『21世紀の不平等』。本書は、イギリスの経済的な不平等・格差について書かれています。

21世紀の不平等

21世紀の不平等

  • 作者: アンソニー・B・アトキンソン,山形浩生,森本正史
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: 単行本
 

著者のアンソニー・B・アトキンソン氏は、『21世紀の資本』の著者、トマ・ピケティ氏の「師」にあたる人だそうです。

このためか、ピケティ氏が、序文を書いています。

目次
序文:平等な社会に向けた現実的なビジョン
――トマ・ピケティ
はじめに
第I部 診断
第1章 議論の基礎
第2章 歴史から学ぶ
第3章 不平等の経済学

第II部 行動のための提案
第4章 技術変化と対抗力
第5章 雇用と将来の賃金
第6章 資本の共有
第7章 累進課税
第8章 万人に社会保障を

第III部 できるんだろうか?
第9章 パイの縮小?
第10章 グローバル化のせいで何もできないか?
第11章 予算は足りるだろうか?

用語集

 

本書では、不平等を縮めるために、主に15の提案がなされています。 

所得税の累進性を高める

『21世紀の不平等』不平等を縮める政策とは? アンソニー・B・アトキンソン - ビジネス書をビジネスのチカラに 

「提案8:個人の所得税の累進性を高める方向に戻す。限界税率は課税所得の範囲に応じて上がり、最高税率は65パーセントにして同時に税収基盤を広げるべきである。」(p.216)

『21世紀の不平等』不平等を縮める政策とは? アンソニー・B・アトキンソン - ビジネス書をビジネスのチカラに

こちらでも紹介したように、とくに印象的なのは、不平等を縮めるために、所得税の累進性を高めることを提案していることです。

累進課税の最高税率を上げること。これを提案しています。イギリスで、不平等が広がったのは、累進課税の最高税率を下げたことも理由の一つということで、これを上げることが、一つの方法ということです。

たしかに、そういう面があるとして、累進性を高めると、不平等は減るのかもしれません。

日本の場合は、そこまで格差がないのかもしれないので、累進課税を上げても、あまり効果は期待できないかもしれません。

第3−2−12図 家計の所得格差(ジニ係数)の国際比較

ただ、今後、格差がひらくのであれば、そして、格差を縮小するというのであれば、そういうことも必要となると言えるかもしれません。

 

失業対策、報酬政策

「提案3:政府は失業を防止・削減する明示的な目標を採用し、求める者に対して最低賃金での公的雇用保証を提供することで、この目標を具体化すべきである。

提案4:国民報酬政策を作るべきである。これは二つの要素で構成される:生活賃金で設定された法定最低賃金と、社会経済評議会を含む「国民対話」の一部として合意された、最低賃金以上の報酬慣行規範である。」(p.276)

 

失業対策と生活を維持できる最低賃金を決める。これも提案されています。また別の提案で、児童のベーシックインカムについても提案されていたりします。

 

日本の場合は、こういったことのほうが大切なのかもしれません。失業率は、一応低いですから、生活を維持できる賃金などを得られるようにする。 ひとり親の人などが複数のバイトを掛け持ちでようやく生活できるというような状態ではない、賃金を得られるようにできるのが良いのでしょう。

そのための財源として、累進課税の最高税率を上げるというのは、ありなのかもしれません。

そうなってくると、成長と配分の話もありますが、配分によって負の相関がないことはないでしょう。本書では、確実に負の相関があるとは言えないとは言っていますが。

「成長」と「パイの配分」 「一言でまとめると、不平等と効率のあいだには絶対に確実な負の相関などない、ということになる。確かに、提案した不平等低減の手法の一部は、パイの規模に負の影響を与えかねない。その可能性は否定しきれない。でもそれが絶対に起きるという保証もないし、経済成長率の足を引っ張るとも断言できない。」(p.304)

『21世紀の不平等』不平等を縮める政策とは? アンソニー・B・アトキンソン - ビジネス書をビジネスのチカラに

 

日本の少子高齢化、人口減では

ただ、それ以上に気になるのは、今後、日本が少子高齢化になって、人口が減っていきます。少子高齢化を伴った人口減のほうのが影響が大きいのではないでしょうか。国内総生産は、人が減れば、全体は小さくなることが予想されます。

人口ピラミッド

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不平等や格差よりも、全体として「パイ」が縮小し始めたときに、より厳しくなるのは、やはり所得が低い人になるのではないでしょうか。

仮に格差が広まっても、食べるのに困る人がいないのであれば、ある意味悪くはない。逆に格差が縮まっても、食べるのに困る人が増えたら、あまり意味がない。

15〜25年後くらいの日本のことを考えると、高齢者は厳しいかもしれませんし、若者はかなり負担が重くなる可能性も考えられます。仮に全体が少なくなったとしたら、失業対策や最低賃金を上げるなどできたり、維持したりできるのかと心配にもなります。

 

アベノミクス新3本の矢

一億総活躍社会の実現 | 首相官邸ホームページ

アベノミクス新3本の矢ということで、①2020年ごろに名目GDPを600兆円にする、②希望出生率1.8を2020年代初頭に実現する、③2020年代中ごろには介護離職をゼロにするということを目標として掲げています。

ただ、希望出生率が上がるのか上がらないのか。子どもを産んで育てたい人が、育てやすい環境も必要なのでしょうし、もう少し手厚い金銭的な援助もあったほうがいいのではないでしょうか。その財源をどうするかという議論はあるとは思いますが。 

 

不平等を縮める、格差を減らすのは、何のため?『21世紀の不平等』

21世紀の不平等

21世紀の不平等

  • 作者: アンソニー・B・アトキンソン,山形浩生,森本正史
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: 単行本
 

 

格差がこのところ話題になっていました。その原因はいろいろあるのでしょう。ただ、日本はとくに、これからは、少子高齢化を伴う人口減が、社会に与える影響がより大きくなっていく可能性があるように思えます。

不平等を縮める、格差を減らす。これは何のためなのか。本書を読みながら、日本の今の状況やこれからの状況を考えると、どこに力を注ぐと良いのかは違ってくるようにも思えました。

とは言え、参考になることもあるので、不平等や経済政策に関心がある人は、『21世紀の不平等』を手にとってみると良いですね。

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