褒めるのか、叱るのか?
私は子どもに「頭がいいね」なんて言わない - わたしに瓜二つなこの子と。
こちらの記事では、子育てにおける褒め方について書かれています。
従業員教育においても、近頃は、褒めたほうが良い、結果ではなく努力を褒めろと言われていることが多くなってきているように思います。
わたしも、叱るよりは褒めるほうが良いような気がしていましたが、少し気にかかるところもありました。
それは、褒めると叱るが反対のことであるなら、結局方向がプラスマイナスなだけで目的は同じことなのではないかと。だから、叱るも褒めるもやめていました。
この点について、こちらの本でこんな記述があります。
ほめてはいけないし、叱ってもいけない
「ほめてはいけないし、叱ってもいけない。それがアドラー心理学の立場です。」
「ほめるという行為には「能力のある人が、能力のない人に下す評価という側面が含まれています。」」
「つまり、「えらいわね」とか「よくできたわね」、「すごいじゃない」とほめる母親は、無意識のうちに上下関係をつくり、子どものことを自分より低く見ているのです。」
「われわれが他者をほめたりしかったりするのは「アメを使うか、ムチを使うか」の違いでしかなく、背後にある目的は操作です。」
縦の関係を作ることになるということです。上下の関係ですね。いわゆる上から目線ということになるでしょう。
仕事の関係や先輩後輩では、まだありなのかもしれません。しかし、友人や子どもということだとどうでしょうか。
では、どうするのか?
「横の関係に基づく援助のことを、アドラー心理学では「勇気づけ」と呼んでいます。」
「いちばん大切なのは、他者を「評価しない」ということです。評価の言葉とは、縦の関係から出てくる言葉です。もしも横の関係を築けているのなら、もっと素直な感謝や尊敬、喜びの言葉が出てくるでしょう。」
ありがとうという感謝の言葉、相手の存在をそのまま認めている言葉などがあるということです。
とくに感謝の言葉をかけることで、相手は自分の価値を認められていると感じられるということです。
縦ではなく横の関係。そういう関係を築くことができれば、褒める必要も叱る必要もなくなっていく。
そういうことだ思います。
条件付けにならないように
褒めるも叱るも、ある点において「条件付け」と同じことなのではないかと。
それは、操作することが含まれてしまう。
そういう関係を築きたいのかどうか。そこで使う言葉も変わってくるのだと思います。
褒めるでもなく、叱るでもない。
本書では、その具体的な方法までは書かれていませんので、そんなことができるのか、と思われるかもしれません。
合わせてこちらの本なども読まれると、イラストで事例が紹介されているのでわかると思います。
子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全
- 作者: アデル・フェイバ,エレイン・マズリッシュ,三津乃・リーディ,中野早苗
- 出版社/メーカー: きこ書房
- 発売日: 2013/06/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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相手を動かそうとするのではなく、起こっていることをそのまま表現する。そして、自分が感じていることを伝える。やって欲しいこともそうするとどうなるかとともに伝える。
といったことが書かれています。
本書は、大人と子どものコミュニケーションですが、大人同士でのコミュニケーションでも同じだと思います。
『嫌われる勇気』も『子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方大全』あまり常識的な考え方や方法を書いているわけではないと思います。
だから、はじめは実践するにはむずかしい方法ではあるでしょう。
それでも慣れていけば、こういう考え方や方法があるのだなということがわかります。
褒めない、叱らないけれども
ほめない、叱らない。それでいて、相手に望みを伝える。
押し付けない、操作しない。それでいて、尊重し合える。
そういう関係をつくるコミュニケーションなどがあるとわかります。
(もちろん、危険が迫っている場面などで急を要するときは、言葉も変わるかもしれません。というか、命令よりも行動で何とかしたほうが良いのでしょうね。)