働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」 稲盛和夫
働くということ。なぜ働くのか?いかに働くのか?
そんなことをときには考えてみるのも有益でしょう。
京セラ創業者の稲盛和夫氏の『働き方』を読んでみると、働き方を考える参考になります。読んでみての感想を書いておきます。
何のために働くのか?
「もちろん、「生活の糧を得る」ことが、働くということの大切な理由の一つであることは間違いありません。
ただ、私たちが一生懸命に働くのは、そのためだけではないはずです。
人間は、自らの心を高めるために働くーー私はそう考えています。」(p.18)
食べるためだけではなく、自らの心を高めるために働く。
稲盛氏は、そう考えているそうです。
「「心を高める」ということは、お坊さんが厳しい修行に長年努めてもできないほど、たいへん難しいことなのですが、働くことには、それを成し遂げるだけの大きな力があるのです。
働くことの意義が、ここにあります。
日々、一生懸命に働くことには、私たちの心を鍛え、人間性を高めてくれる、素晴らしい作用があるのです。」 (p.18―19)
そして、働くということは、心を鍛え、人間性を高める作用があるとのこと。
働く目的
働く理由、働く目的が、心を高めること。
このような考え方は、最近ではあまり聞かないのではないでしょうか。自己実現やお金のため、そのような理由が多いような気がしますし、少なくともわたしは、心を高めるということまでは、稲盛氏の著作を読むまでは、考えたことはありませんでした。
こちらの『京セラフィロソフィ』でも、心を高めることの大切さが書かれています。
人生の目的は、心を高めることにあるのだと。
働く理由は、いろいろな理由があって良いと思いますが、人間性を高める作用が働くということにある。それを感じて、働くことは、ただ働くだけとは違ったことが得られるのではないかと思います。
三毒を薄められる
「三毒を完全に除去できないまでも、まずはその毒素を薄めるように努めていかなければならないのです。
そのための唯一無二の方法と言っていいのが、一生懸命に「働くこと」なのです。
自分に与えられた仕事に、愚直に、真面目に、地道に、誠実に取り組み続けることで、自然と欲望を抑えることができます。」(p.45)
欲望、怒り、愚痴を三毒と言います。
一生懸命に働くと、これらを薄めることができる。働くということが、心を変えることにつながっている。
だから、働くということは、心を高めることにつながるというわけです。
日々のたゆまぬ努力と創意工夫
「一生懸命に、地味な努力と工夫を積み重ねている人自身も、「果たして、こんなことをしていて何になるんだろう」と不安に感じることがあるかもしれません。
しかし、私はそういう人たちにこそ言いたいのです。
日々のたゆまぬ努力と創意工夫こそ、イノベーションへ至る「確かな地図」であり、成功に至る「確実な道」であるとーー。」(p.177―178)
努力や工夫。大切なことはわかっていても、この努力がうまくいくのかどうか。不安になってしまうこともあるでしょう。
しかし、そのたゆまぬ努力と創意工夫が、成功に至る確実な道だということです。現に、京セラがソーラーパネルの事業がうまくいくには、30年も時間がかかったそうです。
あきらめずに、努力と工夫してきたことが、実ったということです。
やる気が出ないとき
続けていて、なかなか成果が出ないとき、いくら働いても、なかなかうまくいかないとき。
そんなときには、やる気がなかなか出ないでしょう。
人をやる気にさせるには?『従業員をやる気にさせる7つのカギ』稲盛和夫
稲盛氏の著書で、こういう本があります。
これは、従業員をやる気にさせるという話ですが、自分をやる気にさせて、働くということにもつながっているでしょう。こういったことも考えつつ、うまくいかないときに、やる気になる方法を自分なりに見つけたいところです。
働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」
心を高めるために、創意工夫してたゆまぬ努力をする。
これが、稲森氏の考える「働き方」であり、なぜ働くのか?いかに働くのか?ということになるということがわかります。
もちろん、自分は違う働き方をしたい。そういう考えもあると思います。
それは自分の選択ですから、自分なりの働き方を見つけてみる、探すというのは、もちろんありです。そして、自分の働き方を考えるというときに、一つの参考として、本書などを読んでみて考えてみると、読まないでいるのとは違ってくるでしょう。
働き方を考えたい。
そんな方は、読んでみてください。
働き方―「なぜ働くのか」「いかに働くのか」 稲盛和夫
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