『創造する経営者』ドラッカー
ドラッカー氏から学べることは、いろいろとあります。
この『創造する経営者』も、その一冊です。
事業、ビジネスをどうやって創造するか?このことについて、本書では書かれています。
本書から、事業機会、ビジネスチャンスについてのドラッカー氏の言葉を紹介します。
機会は見つけるもの
「機会は見つけるものという。機会はやって来るものとはいわない。幸運、チャンス、災難が事業に影響を与える。だが、運では事業はつくれない。事業の機会を体系的に発見し、それを開拓する企業だけが、繁栄し成長する。」(p.198)
日本語だと、チャンスが来ると言ったりしますね。ただ、自ら見つけたほうが良いでしょう。
そして、運では、事業は作れないということです。
ビジネスの成功者が、私は運がいいなどと言ったりします。たしかに、そういう面はあるのでしょう。ただ、運だけでは、事業を作ることはできないでしょう。
体系的に発見する。そのための問いが、次の3つの問いです。
事業機会を明らかにする3つの問い
「事業機会は、三つの問いによって明らかにされる。
第一に、事業を脆弱なものにし、成果を阻害し、業績を抑えている弱みは何か。
第二に、事業内においてアンバランスになっているものは何か。
第三に、事業に対する脅威として恐れているものは何か。いかにすればそれを機会として利用できるか。」(p.198)
これらの問いの答えを考えることで、事業機会を見つけることができるということです。
弱み、アンバランス、脅威を機会にできないか?
これらの3つの問いは、興味深いです。
チャンスというと、通常、有利なところ、強みを活かせそうなところにあると考えるものではないでしょうか。
それらも、もちろん機会には違いないのですが、どちらかと言えば、マイナスなことからチャンスを見つける。たとえば、弱みを逆転できるようにできないかと考えて、機会とする。そのような方法をここでは言っています。
もちろん、強みを活かすとか時代の流れを考えるというような話もあります。
逆転の発想的に機会を見つける方法もあるということです。
マイナスなことをどう見るか?
機会やチャンス。ここでは、ビジネスの話です。本書も経営者向けの本でしょう。
しかし、個人ではどうでしょうか?
マイナスなこと、たとえば、会話が苦手だから、短い言葉でコミュニケーションをとれるように工夫してみるとか、早起きが苦手な自分でも早起きする方法を見つけてみるとか。
マイナスなことが機会だと思えたら、それは、違った意味になってきます。
最近では、マイナスをプラスに変えるという話は言われたりもします。
この『創造する経営者』は、1964年に書かれた本です。(こちらの「ドラッカー名著集」は2007年のものです。)
50年以上も前に、こういったことが書かれています。
このようなマイナスをプラスに変えるというようなことを言ったのは、ドラッカー氏が初めてというわけでもないでしょう。
それでも、今でも、マイナスはマイナスと考えてしまうという人はいますし、多いような気もします。
マイナスをどうやってプラスに転じるか?
マイナスはマイナス。たしかにそうでしょう。
そこから転じて、どうやると、プラスに変えられるかと考える。ここにチャンスがある。
こういうことが、ドラッカー氏は言いたいわけです。
マイナスもチャンスを見つける機会になる。
そんなことを考えるきっかけになるドラッカー氏の言葉のように思えます。
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