成功者は皆、ストーリーを語った。
ストーリーを語ること。これが大切と言われます。
なぜ、大切なのでしょうか?
例えば、淡々と数字を語るだけよりも、その数字の意味するところをビジョンやこれまでの経過などから語ったほうが、記憶にも残りやすいということもあります。成功者について思い出すときには、その人を象徴するようなストーリーを思い出すでしょう。
そして、共感や感動すれば、人を動かすことにつながります。人は理性ではなく感情で動くと言われます。ストーリーが、人を動かすことにつながっている。だから、ストーリーを語る人が、成功者になりやすいというわけです。
この『成功者は皆、ストーリーを語った。』では、成功者が、どのようにストーリーを語ったかということが紹介されています。そして、ストーリーをどう使うと良いのかということもわかります。
著者のピーター・グーバー氏は、ハリウッド映画プロデューサーで、ソニーピクチャーズエンターテインメントのCEOを務めるなどした方だそうです。
ストーリーとはなにか?
「「ストーリーでは、鍵となる情報が感情と絡めて語られる」とローゼンは言った。「つまり、ストーリーの情報は単なるロジックで表すためではなく、サスペンスを引き起こすために用いられる」。口頭、本、映画やテレビなどを通じて語られるストーリーはすべて、三つの要素から成っている。冒頭の挑戦、中盤の葛藤、結末の解決だ。」(p.45)
冒頭の挑戦、中盤の葛藤、結末の解決。
ストーリーは、この3つから成っているということです。
これらの3つが揃うと、ストーリーとして認識されやすく、聴いている人、読んでいる人にとって、記憶に残りやすいなどあるというわけです。
自分の経験からストーリーを語る
そうは言っても、これらをどうやって見つけると良いのでしょうか。
その詳しいところは、本書を読んでみてもらいたいところですが、一つには、やはり自分の経験を語るということがあるでしょう。
他人の経験や知識を語るということもありでしょうけれど、それだと、葛藤などがいまいち臨場感がなかったり、本当なのだろうかという疑いのようなことも生まれてしまったりするでしょう。そうならないように、自分の経験を語れば、本当のことですから問題はありません。
聴き手に興味をもたらすもの
自分の経験したことを語るとしても、ただ語るだけでは、興味を持ってもらえるとは限りません。では、どうするか?
「聴き手の一番の関心事は何かーーそれが最重要ポイントだ。家族、地位、故郷、冒険、安全ーーこれらを認識したうえで、誰も想像したことがないような、恐れや希望、可能性を語る。聴き手がそれを無視できなっくなったとき、ストーリーは結末に向けて走りだす。「まず、恐れや希望を感じさせることが大切なんだ」」(p.169)
まず、恐怖や希望を感じさせること。
本書の例で言えば、火星探査の価値を下院議員に説明する際に、地球も火星のようになってしまうかもしれない。だから、火星探査が必要という話であれば、聞いてみようと思ってもらいやすいということです。
聴き手の興味に興味を持つ
聴き手が何に興味を持っているか。聴き手の興味に興味を持つ。
これができると、聴き手の関心を引きやすいということです。興味を引き出すのは、なかなかむずかしいところがあります。
もともと相手が持っている興味に合わせて、話すことができれば、興味を持ってもらいやすいでしょう。
これは、カーネギー氏の著書、『人を動かす』にも書かれていることです。他の本などでも言われていることですが、やはり相手の興味を知る。相手を知ろうとすることが大切になってくるでしょう。興味を持ってもらえないというのは、寂しく感じたりするでしょうから。
人を動かす三原則『人を動かす』から・デール・カーネギー【書評・感想】
- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,山口博
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1999/10/31
- メディア: 単行本
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相手の興味+ストーリー
そして、単に相手の興味のあることを話すだけでも、興味を持ってもらえますが、さらに、その話をストーリーで話すことができれば、より一層、記憶に残りやすいはずです。
わたしも、コーチングやコンサルのクライアントの方と話しときは、わたしの経験だなどをお伝えしたりします。そうすることで、相手の記憶に残って、ノウハウを思い出しやすいだろうからとそうしています。
その上で、相手の興味や必要に合う役に立つノウハウを伝えていけば、活用がしやすいはずです。単にノウハウだけでも役に立てられるという場合もありますが、イメージやストーリーと結びついている方が、自分に応用しやすいでしょう。こういうことも、ストーリーを使うことで、可能になるわけです。
相手を感動させて、自分の思いどおりに動かそうということではなく、記憶に残って使えるようにノウハウを伝える。その方法でもあります。
何かを伝えるときに、ストーリーも選択肢として考える
というわけで、伝えたいことがあるときに、ストーリーも選択肢として考えてみるというのは有効です。
もちろん、仕事のメールで長々とストーリーを語るというようなことは、めったにはすることはないでしょう。箇条書きで伝えたほうが、動きやすいです。
何をどのように伝えたいか。目的に合わせて、ストーリーも使ってみると良いですね。