「経済学は突き詰めるとインセンティブの学問だ。つまり、人は自分の欲しいものをどうやって手に入れるか、とくに他の人も同じものが欲しいと思っているときにどうするか、それを考えるのが経済学だ。経済学者はインセンティブが好きである。インセンティブを考えたり導入したり、研究したりいじくり回したり、そういうことを喜んでする。典型的に、経済学者はインセンティブの仕組みをうまく作れるだけの自由があれば解決できない問題はこの世に何一つないと思っている。解決策は美しくないかもしれない――弾圧やとんでもない罰によるものだったり、あるいは市民の自由を侵害するものだったりするかもしれないーーが、元の問題自体は確実に解決できる。インセンティブは銃弾であり、てこであり、鍵である。ほんのちょっとしたことだが状況を変えてしまえる大変な力を持つ。」(p.20)
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: 単行本
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インセンティブ
インセンティブ。
このことをちょっと考えたいと思って、この本を読み返してみました。
モチベーションやインセンティブ。
横文字だからでしょうか、よくわかりません。ということなどから、少し考えてみたいと思うところがあるので、読み返してみました。
意欲向上や目標達成のための刺激策。個人が行動を起こすときの内的欲求(動因:ドライブ)に対して、その欲求を刺激し、引きだす誘因(インセンティブ)を指している。企業では、自社の従業員を動機づけるためだけでなく、販売店の販売意欲や消費者の購買意欲を駆り立てる目的でも用いられる。具体的には、報奨金、表彰、景品などの形をとる。
欲求を刺激し、引き出す誘因。
これが、インセンティブということのようです。個人の内的要因ではなく、外的要因ということです。個人の内的要因はドライブと言うようです。
そして、この外的要因が変えられると、「問題は解決できる」と、 経済学者は考えるもののようです。
犯罪者はみんなどこへ消えた?
1990年代のアメリカの犯罪の話で、犯罪者が減ったという話が、『ヤバい経済学』では紹介されています。
『ヤバい経済学』によれば、犯罪者が減った大きな原因は、中絶ができるようになったことにあるということです。
なぜそうなるのかの詳細は本書を読んでもらうとして、それまで中絶が簡単にはできなかったが 中絶ができるようになった。これが、犯罪減少に大きかったということです。
インセンティブとは違うかもしれませんが、中絶ができるようになったという外部要因が、犯罪者の減少につながったということです。
ドライブ(内的欲求)がインセンティブ(外的誘因)に刺激されて動く
それまでも、中絶をできることならしたいと考えていた人はいたのでしょう。
しかし、法的にも金銭的にも、そして道徳的にもむずかしかった。それが、法律的に認められるようになって変わっていく。
内的欲求はあったのでしょうけれど、環境的にはむずかしかった。それが簡単になったことで、中絶が増えた。
ドライブがインセンティブに刺激されたことで、行動につながる。そして、その後の結果につながっていく。
中絶が容易になったのは、犯罪を減らすためではないけれども、犯罪減少という結果に影響していく。
人を動かすものと結果
人を動かすものが、内的なモノから始まって、外的なモノで刺激されて行動につながる。
こういうことが、インセンティブを考えるとわかってきます。
ただ、行動の結果は、短期的にはわかるところはありますが、長期的にはどうなるか、社会全体になるとどうなるかはわかりにくいところがあるのでしょう。
問題の解決が、他の問題につながることもある。
例えば、中国では一人っ子政策を行って、人口の急増がある程度歯止めがかかったのかもしれませんが、人口の割合で高齢者増につながっている、といったように。
内的欲求・モチベーションはどこから来るのか?
一つの問題解決が、他の問題を生むということの他に、内的欲求はどこから来るのか。
このことも気になりました。
モチベーションの話と関係していると思いますが、そもそもどこから来るものなのか。
なんとなく、憧れなどからなのか、と思ったりもしますが、まだイマイチわかりません。
もう少し、内的欲求、ドライブについて考えたいところです。
おそらく『モチベーション3.0』あたりからヒントが得られそうだと思うので、またそのあたりを読みながら考えてみたいと思います。
やる気をいかに引き出すか?『モチベーション3.0』 - ビジョンミッション成長ブログ
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/07
- メディア: ハードカバー
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