『ビジョナリーカンパニー』。
経営者や起業家であれば読んだことがあるという方は、多いのではないでしょうか。
永続する企業の特徴について書かれている本です。ここに書かれている企業が、その後凋落していたりするので、その有効性については議論のあるところだとは思います。しかし、示唆に富む話や参考になる点は、いろいろとあります。
ということで、この記事では、「ANDの才能」ということについて考えてみます。
- 作者: ジム・コリンズ,ジェリー・I.ポラス,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1995/09/26
- メディア: 単行本
- 購入: 33人 クリック: 196回
- この商品を含むブログ (271件) を見る
「ANDの才能」と「ORの抑圧」
「ORの抑圧」
「ビジョナリー・カンパニーは「ORの抑圧」に屈することはない。「ORの抑圧」とは、逆説的な考えは簡単に受け入れず、一見矛盾する力や考え方が同時に追求できないとする理性的な見方である。「ORの抑圧」に屈していると、ものごとはAかBかのどちらかでなければならず、AとBの両方というわけにはいかないと考える。」(p.72)
変化か安定か。未来に投資するか、目先の利益を追求するか。
このような二者択一的な考え方をする。こういうことを、「ORの抑圧」と、本書では言っています。
「ANDの才能」
一方で、「ANDの才能」とは、「さまざまな側面の両極にあるものを同時に追求する能力である。AかBかのどちらかを選ぶのではなく、AとBの両方を手に入れる方法を見つけるのである。」(p.73)
利益を超えた目的と現実的な利益の追求。理念の管理と自主性の発揮。
一見矛盾するようなことを両立させる。そういう考え方をして実現する、これを「ANDの才能」と呼んでいます。
高品質と低価格。稀なことを実現する
例えば、高品質と低価格ということを両立させようと考える。こういうことが、「ANDの思考」ということだと思います。そして、それを実現することができれば、「ANDの才能」があるということになるでしょう。
しかし、それは簡単なことではありません。
高品質で低価格。
そのようなものを実現している企業は、稀でしょう。稀だからこそ、価値がある企業となれる。そういうことです。
第三の選択肢
『7つの習慣』に、「WIN-WIN」を考える、という第4の習慣があります。
お互いにとって、より良い選択肢を見つける。これが、交渉における「WIN-WIN」ということです。
「ANDの才能」というのは、このような2つを合わせて、より良くする。そのようなベターなことを実現することだと思います。
しかし、そのような選択肢は、簡単に見つけられるものではないでしょう。だから、「No Deal(取引しない)」という選択肢もあるということが、『7つの習慣』では言われています。
批判もしにくくなる
二者択一をしなくなるので、どちらか一方がダメといった考え方もしなくなりやすいです。このため、どちらかだけを取るという考え方よりも、批判するということも減るでしょう。
「ANDの才能」を意識すると、より良い選択肢を探すようになるわけですから。
簡単ではないけれども
簡単ではないですけれども、考える価値はあるでしょう。それが稀であるために希少価値があって価値が高いということもありますが、人間関係であればそれはより良い関係につながるでしょうし、企業であれば、そのような商品やサービスを提供できれば、利用する人たちにとっても有益なものとなっているはずですから。
ANDの才能を身に付けるには?
『ビジョナリーカンパニー』を読んでも、ANDの才能の身につけ方は、そこまではっきりとは書かれていません。ただ、それらのヒントは書かれているので、「ANDの才能」に興味がある方は読んでみると良いでしょう。
まずは、二者択一的な考え方ではなく、矛盾を解決するような考え方をするということが始めだと思います。
そこから、発想法や実現力を身につけていく。そんな道のりが、ANDの才能を身につけていく方法なのではないかと思っています。思っていますと言うのは、わたしも、まだまだその途上だからです。
ビジョナリーカンパニー
『ビジョナリーカンパニー』は、経営の本です。しかし、経営者にとってだけではなく、ビジネスパーソンにも参考になることが見つかる一冊です。
「ANDの才能」を意識しているビジネスパーソンは、矛盾しているようなことも「どうしたら実現できるだろうか?」と考えては見るでしょう。そうすれば、何かアイデアや解決策が見つかるかもしれません。
「ANDの才能」を意識していなければ、二者択一で、できる・できない、白黒で判断して、常識的な範囲でしか仕事などをできない可能性は高いでしょう。それでは、大きな付加価値のある仕事は、なかなかできません。
能力の問題がありますから、必ずできるということではないですが、意識していることで、意識しないよりも、行動が変わってくるはずです。その結果、成果も違ってくるということはあります。
「アイデアとは、新しいものの組み合わせ」と言ったりします。これも「ANDの才能」とい通じるところがあるでしょう。「ORの抑圧」に従うのは簡単です。簡単にできることは、あまり価値は生みにくいでしょう。「ANDの才能」を身につけられるように、まずは、意識を変えてみるというのが、始まりですね。
その他のビジョナリー・カンパニーの記事
危機は素晴らしい機会『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』から
10倍型リーダーに学ぶ3つの主要行動パターン『ビジョナリーカンパニー4』
『ビジョナリーカンパニー』
- 作者: ジム・コリンズ,ジェリー・I.ポラス,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1995/09/26
- メディア: 単行本
- 購入: 33人 クリック: 196回
- この商品を含むブログ (271件) を見る